私は、青春を捧げた高校野球で怪我に苦しんだ経験から、可能な限り、肩や肘の痛みに苦しむ野球少年を救いたいという希望があります。
野球指導の中には、その身体メンテナンス法についてさまざまな誤解や不十分さがあるように考えています。(*あくまで私の意見です)
私自身、野球が思うようにできなくなる寂しさを体験しました。
スポーツは基本的に楽しむべきもの。身体を鍛え、人生に必要な「人間力」を高めるための手段であって、競技として結果を出すのが唯一の目的になり過ぎてはいけないとも考えています。
なので、スポーツ本来の良さを引き出す一助になれればと考え、書かせていただいています。
例えば、「投球動作」は非常に偏った動き。背骨はこのように傾き、これが歪みとなって定着してきます。
投球動作は、また、このように身体全体を左に回していく動作でもあります。(右投げ時)
続けていると、腰の位置はこのように左が後ろに下がってきます。投球後は必ず、座った状態で真上から膝の出具合を見てください。
このように右の方が前に出ていませんか? 出ていたら、腰がゆがみ始めている兆候。必ずその日のうちに修正しましょう。
①このように「引っ込んでいる側の足」を「出ている側の足」へ引っ掛けてください。
③終わったら足をはずして再チェック。膝頭が揃ったでしょう。
座ったお尻に少しだけ「違和感」があったりするかもしれませんが、それくらい「腰のズレ」があったということになります。今、違和感のある位置が実は「正常」なんです。
そういった兆候をそのままにしている球児は大抵、背骨も右へ傾き始
めている。
例えば、目をつぶって手を挙げさせてみると、左右の高さに差が出ていたりします。
腰が歪むと脇腹や背中の筋肉(=広背筋など)が突っ張り、腕を挙げる動作に影響を与えるからです。
ラジオ体操などをしていて発覚することもあります。野球部の子は、左右の腕の振りがアンバランスになっていることが多くあります。
以前にも書きましたが、右投げ右打ちをしていると、このように背骨が右へ傾いてくる。
とにかく身体を左に回してばかりいると、上のように背骨は回すほうと「逆(=右)」に倒れてくる。
怖い事は、肩甲骨が下がると投げるときに「肘」も下へ落ちてくること。
肘内側の靭帯に外側からの強い力がかかります。(外反力といいます)
上写真のように肘が上がっていれば、そう簡単には「外反力」に負けませんが、下がってくると負けてしまう。
プロ野球選手が、ピーク時に肘の靭帯を切って、「トミージョン手術」を受けることになるには、そういった要因が内在されているように考えています。(*あくまで私の意見です。世の中にはさまざまな考察があるのは理解しています。それらを否定するものではありません。)
練習の後に、「腰の位置」を整えておくのは大切。たくさん投げた後は今日のような腰の調整がお勧めです。歪みは必ず自分で修正できます。
スポーツ障害は正しい知識さえあれば、予防できるものと当院では考えています。少しでも参考になれば幸いです。